運行指示書とは?必要なケース・正副・保管をまず総まとめ
運行指示書とは、貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の3で定められた法定帳票です。運行管理者が作成し、運転者が運行中に携行します。
作成義務が生じるのは、原則として2泊3日以上で乗務前後の点呼を対面でできない運行です。単純な日数ではなく対面点呼の可否で判断します。
正副2部を作成し、運転者は正本を携行、営業所は副本を保管します。運行終了後に正副を突き合わせ、運行終了日から1年間保管します。
未作成や記載不備は行政処分対象で、初違反は警告、再違反は10日車です。次の長距離運行で正本を受け取り、中身を確認することから始めましょう。
貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov法令検索)で根拠条文を確認できます。
運行指示書 早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要な場合 | 2泊3日以上など、乗務前後の点呼を対面でできない運行 |
| 不要な場合 | 日帰り・1泊2日で乗務前後とも対面点呼ができる運行 |
| 作成者 | 運行管理者(ドライバーではない) |
| 正本・副本 | 正本を運転者が携行、副本を営業所が保管。帰庫後に突き合わせ |
| 記載事項 | 法定の7項目 |
| 保管期間 | 運行終了日から1年間 |
| 未作成の罰則 | 初違反は警告、再違反は10日車 |
運行指示書が必要な場合・不要な場合の判断
ケース1は、運行開始から終了まで2泊3日以上で、乗務前後の点呼を対面でできない運行です。
ケース2は、当初は対面点呼可能で計画していたが、途中の運行変更で2泊3日以上になった場合です。
ケース3は、中間点呼が必要となる運行で、運行管理者が遠隔で指示を出す必要がある場合です。
境界判定でつまずきやすいのが、早朝5時発・3日目深夜23時帰庫のようなケース。日数ではなく対面点呼の可否で判定します。
日帰り・1泊2日で乗務前後とも対面点呼ができる運行は不要です。逆に1泊2日でも対面点呼ができない場合は、指示書に相当する書面が必要になります。
迷ったら運行管理者に確認するのが最短ルートです。形式的な日数で自己判断しないことが重要です。
運行指示書の記載事項7項目と記入例【記入見本つき】
法令で定められた記載事項は次の7項目です。出庫前に正本でチェックしましょう。
- 運行の開始・終了の地点および日時
- 乗務員の氏名(交替運転者を含む)
- 運行経路と主な経過地における発車・到着の日時
- 運行に際して注意を要する箇所の位置
- 乗務員の休憩地点および休憩時間
- 乗務員の運転または業務の交替地点(交替がある場合)
- その他運行の安全を確保するために必要な事項
記入例(見本)は次のとおりです。実際の運行に合わせて具体的に書きます。
| 記載項目 | 記入例 |
|---|---|
| 開始・終了の地点/日時 | 東京営業所 6/10 5:00 発 / 大阪営業所 6/12 22:00 着 |
| 乗務員氏名 | 山田太郎(交替: 佐藤一郎) |
| 運行経路・主な経過地の発着 | 東名→新東名→名神。海老名SA 6:30 / 浜松SA 8:30 |
| 注意を要する箇所 | 日本坂トンネル付近の渋滞、御殿場〜沼津の急勾配 |
| 休憩地点・休憩時間 | 浜名湖SA 9:00〜9:30(連続運転4時間ごとに30分) |
| 運転・業務の交替地点 | 草津PA で佐藤一郎へ交替 |
| その他安全確保に必要な事項 | 冬期は関ヶ原区間の路面凍結に注意 |
特に4の注意を要する箇所は、事故多発地点や急勾配など安全に直結する情報です。空欄なら運行管理者に確認しましょう。
作成から正本の携行・1年保管までの流れと途中変更の対応
運行管理者が出庫前に正副2部を作成します。副本は営業所控え、正本は運転者が携行します。
運転者は運行中、正本を車内に常備し、点呼や監査ですぐ提示できる状態にしておきます。
途中で経路や休憩地点が変わった場合は、運行管理者が電話等で指示を出し、運転者・営業所の双方で指示書に追記します。電話のみで紙に残さない運用はNGです。
運行終了後、運転者は正本を営業所に持ち帰り、副本と突き合わせて運行終了日から1年間保管します。
電子データでの作成も可能ですが、運転者が運行中に提示できる状態(紙またはタブレット)で携行する必要があります。
未作成・不備の罰則と、運行計画書・運転日報との違い
初違反は警告、再違反は10日車の行政処分が課されます(国土交通省の行政処分基準)。
悪質な未作成や記載漏れは集中監査の対象です。軽井沢スキーバス事故後の監査でも違反多発が報告されました。
混同しがちな3帳票の違いを整理します。
- 運行指示書:法定帳票で長距離運行時のみ作成義務
- 運行計画書:任意の社内文書
- 運転日報:運行終了後の記録
作成タイミングと目的がそれぞれ異なります。監査時は3帳票が揃っているかが運行管理体制の評価ポイントになります。
詳しい処分基準は貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為(国土交通省)で確認できます。
運行指示書テンプレートの無料入手先(都道府県トラック協会)
各都道府県のトラック協会が、無料で公式様式を配布しています。長野県・愛知県・徳島県などが代表例で、全日本トラック協会のサイトからも各地のひな形に辿れます。
ExcelとPDFの両方の様式があり、自社用にカスタマイズして利用できます。
記入例では、運行経路を国道番号・SA/PA名・経過時刻まで具体的に書くのが望ましいです。
「注意を要する箇所」は、事故多発地点・急勾配・冬期路面凍結区間などを具体的に明記します。
テンプレを使う際は、最新の輸送安全規則改正に対応しているか発行年月を必ず確認しましょう。
運行指示書の渡し方で分かる優良運送会社の見抜き方
面接でぜひ聞いてほしい質問があります。「2泊3日以上の運行時に、運行指示書はどのタイミングで渡されますか」と。
正本が出庫直前に走り書きで渡される会社は、運行管理体制が脆弱な可能性が高いです。
途中変更時に「電話だけで指示書の追記がない」運用は監査リスクが高く、事故時の労災判定にも影響します。
電子化(タブレット運用)が進んでいる会社は、労務管理・帳票管理のIT投資意欲が高い傾向があります。
不備に気付いたら運行管理者にその場で確認し、改善されない場合は労働基準監督署や運輸支局への相談ルートがあることを覚えておきましょう。
運行管理がしっかりした会社は長距離でも稼ぎやすい傾向があります。長距離ドライバーの年収も参考に、条件の良い求人を探しましょう。
運行指示書に関するよくある質問(FAQ)
日帰りや1泊2日でも作成は必要?
ドライバーが書くもの?
電子化(PDF・タブレット・スマホアプリ)でも問題ない?
保存期間は何年?
正本を紛失したら?
